「剛はどうしたいの?」


「俺は…………も、戻り、たい」


「そっか。皆が迎え入れてくれたらいいねー」


「軽いな、おい」


「えー、そんなことないよー」




なんだか、まだ体が重い。最近運動不足だったからなぁ。



私はとにかくリラックスしたくて、髪を結っていたゴムも取った。


さらり、と髪を揺らす。






「――あ、いた。おー…………い、って……え?」




私は、気づかなかった。



「お前って、誰よりも“漢”って感じだよな」


「私がイケメンなのは認める。けど、女だからやめて。これ以上女子力減らさないで」


「認めてんのかよ!!」



女の姿の私が剛と駄弁っていた路地の近くに、誰かが来ていたことに。





「ど、どういう、ことだよ……」




やけに強い風が吹き荒れて、私達を横切る。


不吉な予感を過ぎらせながら。