浮き沈み激しい感情に支配されながらも、私は繁華街を抜けた。


人気がだんだんとなくなっていく。




神雷は有名な族だから、もちろんたまり場も割と知られている。



けれど、たまり場に神雷メンバー以外の人が立ち入ることはあまりない。


神雷のテリトリー内は、心臓がいくつあっても足りないくらい危ない場所。



そんなところに好き好んで入る者は、そうそういないのだ。





「ここか」



街外れにある、古びた洋館を前に立ち止まる。


幽霊が出るとか、そういうオカルト的な噂がいくつもありそうな雰囲気の洋館が、神雷のたまり場だ。



想像以上に大きいな。

しかも、ちょっと豪華だし。



う、羨ましいなんて思ってないんだからねっ!


別荘に欲しいなんて、1ミリも思ってないんだからねっ!



「…………ツンデレごっこはやめよう」



気持ち悪くなるだけだった。