「入れてくれなきゃ、バラしちゃうよ」


「バラすって何を……」




「あんたが、本物のNINAじゃないことを」




脅されたのにいけしゃあしゃあと自信たっぷりにやり返す私に、十蔵寺剛の温度のない表情が崩れ始めた。


バラされたら困るんじゃない?



「お、俺がNINAだって知って……?いや、神雷の奴らから聞いたのか。けど、俺が本物じゃねぇって、なんで……」



あのー、モノローグだだ漏れしてるよ?大丈夫?



ていうか、こいつ、気づいてなかったのか。

不良撲滅隊らしい十蔵寺剛が、不良をぶん殴っていたところを、チラ見してたのが私だって。



「『念のため注意しておくけどな、しらばっくれたって無駄だぞ。こっちは確信を持って言ってんだ』」



面倒だから、屋上で言われたセリフをそのまんまパクって脅し返してやったら、わかりやすく苛立った。


私をなめんなよ、半分坊主野郎が。




「NINAって、都市伝説みてぇなもんだったんじゃ……」



アホだなあ。

自分がNINAじゃないって、言ってるようなもんじゃん。




「私、NINAを知ってるの」