目覚まし時計から、なんとなく自分の部屋にあるベランダの方に眼を向けた。



「窓が、開いてる……」



おかしいな。

昨日テレビゲームをした後に、ちゃんと閉めたつもりだったのに。



私はベッドから下りて、ほんの少し開いたベランダの窓の鍵を閉めた。



ベッドに戻る途中、勉強机に違和感を抱き、足を止める。


勉強机を普段あまり活用しておらず、机の上は無駄に綺麗だ。



殺風景な机の上の真ん中に、ぽつん、と見覚えのない1通の手紙が置かれてあった。



「何、これ」



こんなのあったっけ?


白い無地の手紙を恐る恐る手にして、何も綴られていない表面から裏面にひっくり返す。




「え?」

……なん、で。



裏面の隅っこに、一言。


『善より』


世界で一番憎い名前が、書かれていた。