なぜか突然、隣にお母さんが現れて、私の幼い手をぎゅっと握った。



『ねぇ、幸珀。決していじめをしてはダメよ。いじめは、時に人を殺す。だから、もし誰かがいじめられていたら、助けてあげてね』



そう約束した、“あの日”の帰り道。


あの約束がだんだんと癖になるくらい、今では私自身に染みついている。



たとえ「化け物」と恐れられても、私はあの約束をずっと守り続ける。





再び、場面が変わり、真っ黒になる。

私1人しか、いない。



不意に、前髪をかすめる、温もり。



あれ?

どうして。


ここは夢のはずなのに、温もりなんて……。



誰かの指先が、前髪を梳く。



『秘密を、聞いちゃったんだ』


『愛してるよ、幸珀』



一気に溢れてくる、過去の残骸。


気色悪い感触が、私の感覚を奪う。