『ヒーローか悪役になればいいんじゃねぇの?』



“あの人”の手のひらが、小学生の姿をした私に、ふわりと触れる。



これは、夢だ。

すぐに気づいた。


だって、頭を撫でるその手に、温もりはない。



それでも、ホッとした。


“あの人”の手は、とても優しかった。



――副総長の手も。




安らぎの空間は消えて、“あの人”も消えて。



場面が切り替わったように、周りに小学校の頃のクラスメイトと担任の先生が立っていた。


その奥には、違う学年やクラスの生徒……いわゆる野次馬もいる。




生徒も先生も、皆、私を怖がっていた。

凶暴な、私を。