懐かしいから、だろうか。



この曲を聴いていると、いつでもどこでも和気あいあいとしていたあの頃が、弘也と鷹也と一緒にはしゃぎ合いながら笑っていた時間が、たまらなく懐かしく感じて。



それでも、元には戻らない、戻れない関係が狂おしくて。


だからこそ、この曲が心臓の深い部分にまで侵食して、伝わってくる。





意味も理由も秘密も責任も、

何もかも全部消えたとしても、きっと俺にとっての“1番”はずっと同じままなんだろう。






――耳の奥をかすめる、美しき記憶。




冬の寒さまでも蘇って、過去であり思い出でもある情景が、瞼の裏に映る。



『ははっ。なに転んでんだよ、剛。だっせー!』


『今のお前も十分ダセぇよ』


『鷹也、ひでぇ!実の弟に対してなんでそこまで冷てぇの!?』



持っていた羽子板を落とした上に派手に転んでしまった俺を、おちょくる弘也の目元は、墨で真っ黒に染まっている。


そんな弘也を、俺と鷹也が腹を抱えて笑った。



くすぐったくて、楽しくて。

俺もつい笑ってしまった。