「で、その時に1位でゴールしたのが、凛さんだ!」


「あっそ」


「あっそってなんだあっそって!」



桃太郎がどーんと副総長を両手で示して堂々と宣言するが、当の本人がうつらうつらしていたら、あっそとしか言い様がない。



一瞬だけだったとはいえシリアスな空気になったのに、よく平気で寝ていられるね。


その神経の図太さ、私にも欲しいよ。




「ちなみに、桃太郎の罰ゲームは何だったの?」


「ねぇよ、俺には。たまに罰ゲーム無しのラッキーなマスがあんだよ」


「なーんだ、つまんないの」


「つ、つまんない!?新入りのくせに失礼すぎじゃねぇか?あ!?」




よかった、皆の調子が戻ったみたいだ。


心の中で、ホッと安堵する。



「あと2週間もすれば、格下げされた阿呆な幹部に会えるよーん」


「それは楽しみだ」



弘也のダラけた言い方に、私はあえて真面目に返す。



元総長で今は出禁中の幹部は、一体どんな奴なんだろう。




あぁ、どうか、どうか。

お願いします、神様。


少しはまともな奴でありますように。