みんなには話さなきゃいけないよね…






「みんなに…聞いて欲しいことがあるの。」





「「「「「ん?」」」」」








そう、私の過去の話を…








「私はね、普通の家庭に生まれたの…」
















そう。ごく普通の家庭に。






お父さんがいてお母さんがいて、幼馴染のお兄ちゃんもいて幸せなだった。







それが崩れたのは私が小学校2年生の時。









私の隣の家には、京矢お兄ちゃんと言う3つ上の幼馴染がいた。






京矢お兄ちゃんはいつも私と遊んでくれる優しい人だった。







いつものように一緒に公園で遊んでると、









「灯、灯は好きな人いる?」







突然そんなことを聞いて来た。





「ううん。」





私は素直にそう答えた。





「俺は灯が好きだよ」




そう言ってお兄ちゃんは私にキスしてきた。






その日を境にお兄ちゃんは色々なことをしてきた。






小学2年生の私には何をされているのか全く分かっていなかった。






幸い抱かれることまではなかったが、それに気づいたお父さんとお母さんが、京矢お兄ちゃんの家に乗り込んだ。






しかし、京矢お兄ちゃんの家は今で言うヤクザで私達家族は引っ越した。






1年後、お兄ちゃんはまた私の前に現れた。





その時はたくさんの怖い人を連れて…






家に入れないようにお父さんとお母さんが頑張っていたけどとうとう中に入られてしまった。





何がおきたのかわからなかった。






今思えば、お父さんは入ってきた男たちによって殺されお母さんも殺された。




しかし当時小学3年生の私にはわからなかった。






『大丈夫…お母さんとお父さんは…大丈夫だか…ら』





それがお母さんの最後の言葉だった。






京矢お兄ちゃんは泣き叫ぶ私を抱きかかえベッドに放り投げた。







嫌がる私の頬を叩き犯した。






痛かった、つらかった、逃げたかった。







しかしそれはならなかった。






いつも部屋に閉じ込められ、部屋の前には男が2人







そんな私に絶好のチャンスが訪れた。







私がいつも入っている閉じ込められてた部屋のお風呂が壊れたのだ。





だから、京矢お兄ちゃんは私を別の場所のお風呂場に連れて行った。





そこはあの部屋のお風呂にはない窓があった。






私はそっから逃げ出した。






走って走って走った。





走り疲れた私は裏路路の目立たないゴミ箱の隣に座り込んだ。






どのぐらい経っただろう…





知らない人が声をかけてきた。






「じょーちゃん、1人か?なら俺と一緒にこい。」






「おにーさん誰?」





「ん?俺は色葉 陽太だ!お前は?」






「桐谷 灯。」





そう、私の旧姓は『桐谷』だ。





それが私と陽太さんとの出会いだった。







それから私は陽太さんの家に行った。







「あなた〜?お帰り!」






「おー、茜音。ただいま。」






「どうしたの?その子?」





「俺たちの娘にしようと思って。」






この人は私を救ってくれた。







「まぁ、そうなの?あなた名前は?」






「…灯」





「私は茜音。これからあなたの母親がわりになれるように頑張るわ!」





「…ありがと、ござます…ありがと、ござます…」





私は茜音さんにすがって泣いた。





それから陽太さんは私と本当に養子縁組をしてくれた。






そして、弟ができて…







「…ここまでにいたるわけ。」








ってなんで皆して泣きそうになってんのよ?!







こっちが泣きたくなるじゃんか!!









「ありがとね。話してくれて、灯と友達になれて良かったわ!」






「そうですね…灯さんが庵に出会わなければ私達ともあってないわけですしね。」





「和、龍恩寺先輩。」







「なんや水臭いなぁ。だーれも灯のことなんて嫌うはずないやん。こんな素直でまっすぐな子。あとな、灯、俺らの事も庵みたいに呼び捨てでいいでぇ」









優しい人ばっかりだなぁ






「そうそう。和には俺呼び捨てにされてるけど…」







「当たり前じゃない。私の彼氏なんだから。」







え、ついに和と睦月付き合ったんだ!







「和、おめでとう!」







「まさか、灯に先越されるとはねぇ。思わなかったよ〜、(もう少し、灯と庵の掛け合い見たかったのに)」







悪魔だ。悪魔がいるぞー!









「庵、軽蔑した?付き合ってる女が処女じゃなくて…?」








「んなわけねーだろ、お前は何があってもお前だ。俺はお前さえ入ればなんでもいい。」








///は、恥ずかしい…








皆いつの間にかいなくなってるし、







あ、あれだけは伝えとかなきゃ!








「庵、私のファーストキスは庵だからね!」







「そうなのか?」







「うん、お兄ちゃんキスしてきたけど、あれ唇じゃなくて口の脇だったんだよね。」









これで少しは安心してもらえたかな?







「大好きだよ!庵。」






「バーカ。俺の方が大好きだ!」









END