「……どうし、」 「風花……?」 今は聞きたくなかった声が、あたしの名前を呼ぶ。 ーーーーああ、気づかれてしまった。 あたしが、さっきのやり取りを聞いてしまったこと。 だって見なくてもわかるもん。 空くんが、焦ってるってことが。 何年一緒にいると思ってるの。 こういうとき、幼なじみであることがつらくなる。 「風花、違くてこれは……」 「風花」 ふわりと香る、優しい香り。 目の前には、綺麗な鎖骨が見えて。 頭の後ろに手が回り、あたしは佐々木くんに抱き寄せられていた。