呆然としてしまう。


そんな私を見て、由良が手招きをする。


「抹里ー! 早くこっち来なよっ」


なぜか一瞬だけ足に力が入った。


ダメだ、由良のところまで行くことができない。


でも自分の席まで行かないといけないので、渋々自分の席に向かう。


顔をうつむかせて自分の席まで来ると、周りのクラスメイトが「おはよう」と声をかけてくれた。


それだけで安心感を得ることができる。


声をかけてくれたクラスメイトに「おはよう」と挨拶を返すと同時に、隣の席の子が顔を近づかせた。


彼女から視線をそらせなくなり、由良からカバンを受け取って席に座っても目が離せなかった。


「ねぇ、抹里ちゃん」


「な、なに?」


首をかしげて曖昧な笑顔を浮かべる。


彼女が次の言葉を投げかけたのは、由良が私の前の席に座ったあとだった。


「由良から聞いたんだけどさ……。土曜日、朝丘さんと合コンに行ったんだって?」


目を大きくさせて視線を由良に移した。


由良も思い出したかのように「あぁ、そうだ!」と目を見開き、手を合わせた。