嘘……。


この街で連続殺人事件と失踪事件がすでに起きているのに、なぜか先には進まない。


しかも、秋帆までもがいなくなったなんて。


数日前に自分の彼氏がいなくなったばかりだというのに、今度は自分がいなくなった。


なんで?


なんで昨夜から秋帆と連絡が取れなくなったの?


「それ……本当?」


おそるおそる聞くと、ネネはスッと目をそらしたが、やがて私の正面に向き直り、睨むように私を見据えた。


「うん。私も最初は冗談なのかと思って、秋帆の両親に確認してみたの。そしたら秋帆の両親、なんて言ったと思う?『秋帆は夕方に出かけたっきり帰ってきてない』だって」


そんな……。


夕方に出かけたっきり帰ってきてないなんて。


家に現れることなく姿を消しているという出来事が事実であっても信じたくない。


そもそも秋帆は夕方には絶対家にいると言っていたから、夕方になって家を出ること自体おかしい。


そう思ったとき、数日前の会話が頭の中でよみがえってきた。


保健室で磐波さんに、野々村さんと畠さんが離れた場所で死んだと話を聞かされたときだ。


野々村さんと畠さんが死んだこととなにか関係があるのか。


もしあるのだとしたら、秋帆は野々村さんと畠さんを死に追いやった犯人になにかされたということになる。


犯人は男性をターゲットにしていたのかと思っていたけど、じつはそうではないのかもしれない。