思い出そうとしてみても、自分が描いていた花壇の絵しか思い出す事ができなかった。


あの日は写生大会だったんだ。


みんな、自分の画用紙と、対象物ばかりを見ていた。


見知った顔が公園内へ入ってきた時には気が付けたけれど、すべての人の出入りに気が付いていたかどうかは自信がなかった。


「そろそろ行くわよ」


お母さんのそんな声が聞こえて来て、あたしたちは公園を後にしたのだった。