「…………ん…」


ぼやけた視界が次第に鮮明になっていく。


見慣れた淡いグレーの天井を見つめながら、俺は大きく息を吐いた。


「夢か…」


ゆっくり起き上がった俺は、自分の部屋を見回す。


カーテンを開けると、柔らかい太陽の光が部屋に差し込んできた。


朝…?


ベッド脇のスマホを手に取って時間を確認すると、正午過ぎになっていた。


ああ、そうか…。


昨日、早退して病院に寄って…。


風邪の診断を受けて家に帰って来た後、久々に熱も出てきちまって、ずっと安静にしてたんだっけ。


今朝、一度…目が覚めたけど微熱だったから、念のため学校を休む旨を桃舞に電話で伝えて…。


紅月のことを考えながらベッドに横になってるうちに、いつの間にか眠ってたんだ…。


クシャクシャと頭を掻いた俺は、窓の外をボンヤリと眺めた。


さっきの夢を見たのは…


これで、何度目だろう…。