「お、お兄さん!?」


思いも寄らぬ言葉に、大きな声が口から飛び出す。


「正確に言うと、義兄なんだけどね。姉貴が半年前に結婚してさ、その旦那が衛佑さんなんだ」


「そうなんだ…」


お姉さんがいるのか…。


明るくて優しい神楽くんのお姉さんだから、きっと素敵な方なんだろうなぁ…。


勝手に想像を膨らませる中で、疑問が浮かび上がる。


「でも、どうして電話相手が衛佑さんなの?あっ、もしかして…赤髪の男に絡まれた時のことを目撃していたっていう会社員の人が……」


「違うよ、その人じゃない。あの時に俺らのところに駆け寄ってきた巡回中の警察官が衛佑さんだったんだ」


「………えっ!?」


私は、思わず目を見開いた。


「でも、衛佑さんとは…その時が初対面だったから、後で姉貴の彼氏だと知った時は、すげぇビックリしたよ。付き合ってる男がいるなんて話を聞いたことなかったから余計にね」


人の縁って、不思議だな…。


こういう思いがけない偶然があるものなんだ…。