「わざわざ教室まで来てもらっちゃって、ごめんね…」


「これぐらい、どうってことないよ。莉彩ちゃんには、もう…危険な目に遭ってもらいたくないし。な?壱夜」


「ああ。放課後も迎えに行くから、教室で待ってろ」


「うん…!」


そうそう。


あれ以来、登下校も壱夜くんと一緒にするようになった。


朝は、私の住むマンションの前で待ってくれているし、帰りは教室まで来てくれる。


少し不謹慎かもしれないけど、壱夜くんと過ごす時間が増えたのは、正直言って…嬉しい。 


でも、周りの生徒たちからは哀れむような目で見られたり、“大変だね”とか“大丈夫?”という心配の声を掛けられたりしてしまう。


どうやら、壱夜くんに目をつけられてると思っているらしい。


否定をするものの、例のデタラメな噂が完全に浸透してしまっているため、信じてもらえないのが現状だ。


みんなの誤解を解くためには、紅月くんと話をするしかないけど…


危険が伴う以上、かなり難しい。