タクシーを呼んでもらって帰る大ちゃんと里奈を私たちが見送る形になった。
「千隼、方向一緒なら菜乃のこと送ってやって」
大ちゃんの言葉に彼は無表情のままあっさり事実を答えた。
「どうせ一緒の公舎だから」
「あ、そっか。それなら心配なかったな」
さっきのやりとりを引きずったままの里奈はニヤニヤ笑いが止まらない。
「むしろ危ないんじゃなーい?菜乃を真っ赤にさせた千隼だよ?しかも一つ屋根の下!」
「タクシー来たよ!もういいから帰って!」
ニヤニヤ笑ったままの里奈を押し込むと、ごく自然に大ちゃんが続く。
「じゃ、二人ともまたなー」
「千隼と菜乃がそういうことになったら、またお祝いしようねー」
タクシーの窓からしばらく大ちゃんの振る手が見えていたけれど、角を曲がって見えなくなった。
お互いになんとなく顔を見合わせる。
同じ公舎という意味だけでなく、間違いなく一つ屋根の下に暮らしているのだ。
でも里奈が期待するようなことは何もないし、決して色っぽいことを言われたわけではなかった。
彼はこう言ったのだ。
『アルコールは体内が乾燥するから、膀胱炎悪化するよ』
って。



