色々割り切ったつもりでも大ちゃんと里奈ののろけ話を聞くのは、あまり気持ちのいいことじゃない。
何を食べ、何を飲んでいるのかわからないまま、笑顔を作り、うんうんと頷き、箸を動かしコップを傾け続けていた。
何杯目かわからない何かのサワーを持ち上げると、それが横からスッと奪われた。
代わりにウーロン茶を手渡される。
「もう飲まない方がいい」
そんなに言われるほど飲んでいただろうか。
ザルというほどではないけれど、少し飲み過ぎたって困るほど弱くないのに。
同じことを大ちゃんと里奈も思ったようだ。
「千隼、菜乃なら大丈夫だよ。こう見えて酒は強いから」
「だよねー。菜乃が酔ったところ見たことないもん」
一応酔ってはいるのだけど、表情や態度には出ないのだ。
今だって少しぼんやりはしている。
二人にそう言われても彼は私にウーロン茶を押しつけ、私の飲みかけだったなんとかサワーをぐっと飲み干してしまった。
無言のまま頑として聞き入れない横顔をじっと見ていると、その視線に気付いて眼球だけこちらに向けた。
「それ、飲んで。全部」
「え?なんで?」
お酒の力と友達同士の会話の流れですっかりくだけた口調で聞き返すと、寄り掛かっていた背もたれから面倒臭そうに身体を起こして、私の耳元で囁いた。
「━━━━━から━━━━━するよ」
それを聞いて真っ赤になりウーロン茶をガブ飲みする私に、目の前の二人が目を丸くする。
「うわ!菜乃、顔真っ赤!千隼、何言ったんだ?」
「やだー!すっごい気になる!何?何って言ったの?」
二人のしつこい追及を丸ごと無視して私はウーロン茶を飲み干し、彼は残ったからあげと焼きそばとお刺身のお皿を空にした。



