いつものように気持ちよくもなんともない彼とのキスから始まり、やがて私はベッドに押し倒された。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

彼の興奮した息遣い。紅潮している顔。

そういうオスの部分を見せつけられるにつれ、なんだか気持ちが悪くなってきた。
動悸がする。

だけど、それは緊張しているせい、そう思っていた。
うん、今にして思えば思い込もうとしていただけだった。

「いやあああああああ」

だから胸を弄られた瞬間、深い深い記憶の奥底にしまいこんでいた根源が溢れ出してきた。
その得体のしれないものは初めはゆっくりと、やがて濁流のように私を飲み込んでいった。