「昨日シちゃった~」

夏休みの後半に差しかかったうだるような午後。
そんな世間とは別世界にいるような、冷房のきいた友人の部屋でのことだった。

仲間内で一番初めに付き合い始めた友人の発言に、みんなが浮き足立った。

中学生。

受験勉強と称して友だち同士集まったって所詮そんなもんだ。
遠い未来のことよりも、今興味があるのはオシャレや芸能人やネットや恋愛。

そして、仲のいいグループの女の子同士集まれば当然ほとんどは恋愛の話。


「マジで~!?」
「どう!?どうだった!?」
「やだー、私を置いてオトナになったの~!?」

もともと勉強そっちのけだったのがその爆弾発言により、あたかもその話をきくために集まったかのようになった。


みんな、触発された。
もちろん私も。

そして、夏休みが終わる頃には、仲間内で少女のままなのは私だけになった。