彼はしゃがんで目線を合わせてくれ、そっと手を握ってくれる。

「ごめんなさい……」
「もういいよ、泣くなよ」

うん、うん。

何度も頷きながら涙を拭うのだけれど、どうしても涙が止まってくれない。

繋いだ手から明夫の熱が伝わってくる。
その温かさはまるで明夫の気持ちそのもののよう。

「ごめんね、ごめんね」
「いいよ、別に。……俺のほうこそごめんな」

え……?

言っている意味がわからなくて顔を上げる。
涙でかすんでいるけれど、そこには確かに申し訳なさそうにしている明夫がいる。

「中学の時、その、強引だったなって思って」

あぁ。

私は首を横に振る。

「あの後、心(ココロ)の悪い噂きいて。俺のせいだって思った」

え!

慌てて首をブンブン大きく振る。

「違うよ!」

今度は彼が驚く番だった。