しばらくすると、


『桜川停車致します。バスが止まるまで席を立たないようにお願いいたします』


と、車内にアナウンスが響き渡る。


私は、そんな運転手さんのアナウンスに素直に従い、バス停にバスが完全に停車したのを確認してからそっと席を立った。


「…じゃ、万里くんまたね」


「うん。結茉ちゃん、また。気をつけて」


最後に軽い挨拶を交わし、私は、バスの出口に向かう。



ピッ



カードをタッチし清算を済ませ、バスを降りた。



外の空気が気持ちいい。


日も暮れてきて、少しだけ寒くなってきた気温が心地よく感じた。


私は、さっきまで自分が乗っていたバスに向き直り、万里くんに向かってヒラヒラと、手を振る。


そんな私を見て、万里くんも笑顔で手を振り返してくれた。