ちょっと前まで、万里くんにベッタリだった葵ちゃんが一切、万里くんの方を見ようとしない。


だけど、別に喧嘩したとかそんな険悪な雰囲気というわけでもなさそうだし…。


謎だ…


うーん…と、考え込んでいると、


「ねぇ、結茉ちゃん」


「な、何?万里くん」


突然、万里くんに話しかけられ、私は、少しどもって返事をしてしまった。


「いや、ちょっと結茉ちゃんと話したいなって思って」


キュン


爽やかに微笑む彼のはにかんだ表情に不覚にも、胸が高鳴る。



「あ、ありがとう…。なんか、ゴメンね。私が全然話に入れてないから気を使ってくれてるんでしょ?」



「ううん。そんなことないよ。ただ、話したかっただけ」