"ほら"と、万純は、近くにある手鏡を私に渡す。
「ありがとう…万純、上手だね」
彼女から受け取った手鏡で自分を見てみると、肩まである髪の毛先が緩く巻かれ、いつもより少しだけ大人っぽく見えた。
「ワンピースにもそっちの髪型が合うと思うよ?さて、あとは、ちょっとだけメイクして…合コンは、14時からだから間に合いそうね」
「…私は、いいけど万純もそろそろ準備しないと間に合わないんじゃない?」
未だに部屋着で私のメイクをしだす万純に何気なく声をかける。
すると、
「ん?私は、合コン行かないよ?はい、目つぶって」
そんな予想外の言葉に驚いた私は、目をつぶれと言われたにもかかわらず、逆に思いきり目を見開てしまった。
「ちょっと、目つぶってってば」
「いやいや…何?え?万純行かないの…?」
「当たり前じゃん。万里が行くんだよ?何が楽しくて兄妹で合コンしなくちゃいけないのさ。だから、今日は、万里に任せてあるから、結茉は、心配しなくて大丈夫だよ」