「ちょ、馨、あんたね…」


「だね!それ、楽しそう!じゃあ、私たちそろそろ行くわ。鞠子先輩によろしく。行こ、万純?」


万純が何か言いかけたのを遮り、私は馨に笑顔を向け言葉を紡いだ。


そして、まだ、何か言いたげな万純の手を引き、教室を後にしたのだった。




ーーーーー……



万純の家は、学校から徒歩10分。


閑静な住宅街の中にある。



そのうちの一角で、イライラとした万純の声が響いていた。



「あー!!もう!なんなの馨、超ムカつく。一言、言ってやんないとおさまりつかない」


自分のベッドの上にあるクッションをバシバシ叩き、ストレス発散する万純。


その勢いは、さすがにクッションがかわいそうになるレベル。


「まぁ、万純…ちょっと落ち着いて」


と、なぜか私の方が冷静で少し驚いた。


「だってさ、何がダブルデート!?鈍感もあそこまでいくと呆れるわ」


「…でも、ある意味踏ん切りついたのかも。私はいくら、頑張っても馨の友達以上には、なれないんだなぁって」


「う…結茉…絶対に彼氏つくるよ!万里に良い男いっぱい紹介してもらおう」


ガバッと、私に抱きつき、気合いを入れる彼女に


「…ん。ありがとう」


と、私は素直にお礼を言う。