「よくわかったね」


「だって、あいつ茜のこと……」



そこまで言ってハッとする。



「あ、いや……えっと、夕凪のこと」



慌てて取り繕うにもしどろもどろになってしまう。



「竜、もしかして……」


「誰にも言うなよ」



しーっと自分の口元に人差し指を立てる。



「付き合ってるの……?」


「うん」


「じゃあさっきあの子も勘違いしてたんじゃ?」


「……そうかもな」



勘違いして傷ついてくれたらいいのに。
そう考える俺は最低なのかもしれない。



「誤解解かないと!」


「まぁ、あとで話すよ。だから、お前もちゃんと話せよ」


「うん」


「あと、茜のこと好きじゃなくなるように捕まえておけ」



希映の頭をぽんっと撫でて、歩き出す。



「もう……そうなったらあたしも嬉しいよ」


「頑張れ」



路地から出たところでもう一度希映の頭を撫でる。



「お前はいい女だから大丈夫だ」