「いつまでも避けるわけにはいかねぇんだけどな……」



ここで逃げたからって、茜の気持ちは変わらないっていうのに。
それに振られてないとしても、気になって仕事どころではないのに。



「須坂、ちょっと」


「はい」



パソコンで処理をしてるふりをして、思いを巡らせていると部長に呼ばれる。



「ちょっといいか?」



部長がミーティングルームを指さす。



「大丈夫です」



俺の言葉に部長も席を立ち上がってあるきだすので、後について俺も歩く。


改まってなんだろうか。
俺がさっき仕事してる振りをしてることがバレたのだろうか。



「夕凪さんはどうだい?」



部長はミーティングルームに入るなり、突然茜の名前を出してくる。



「え?夕凪?」



突然のことに俺もそう聞き返すことしかできずにいた。



「そう。教育係あと1週間の予定だけどそのまま終了で大丈夫かな?って」


「あーそういうことですか」


「他になにかあった?」


「いやないっす」



妙に鋭い部長の瞳から目をそらさずに答える。