その恋、記憶にございませんっ!

『……そうだな。
 仕事は切れるが、頭のおかしい奴も居るな。

 それでいて、なんだか憎めなかったりもするんだよな』
と誰のことだか呟いている。

「まあ、そんな話はいい。
 来週、一度日本に戻るから。

 そのとき、会おう。

 唯のことは、慎吾さんにでも頼んでおくよ。

 じゃあ、ありがとう。
 日本に帰ったらまた連絡する」

 そう言って、翔太は電話を切った。

 枕許に飾っている唯の写真を見る。

 海外が長いせいで、慎吾とは違い、あまり唯とは面識がなかったのだが。

 だからこそ、彼女と久しぶりに会ったとき、鮮烈な印象を受けた。

 彼女にも慎吾にも来週帰ることは言っていない。

 いきなり彼女の許を訪れて驚かせるつもりだった。