その恋、記憶にございませんっ!

 なんてことを考えている間に、唯は大事そうにクッキーを抱いて、総務に走っていってしまっている。

「あっ、あの、唯……っ」
と手を伸ばし、呼びかけてみたが、ご機嫌な彼女にはなにも聞こえていないようだった。

 ま、まあ、いいか。

 また明日にでも話そう……。

 こういうところがきっと良くないんだよな、と思いながら、慎吾は振り返り振り返り、自分の部署へと戻っていった。