その恋、記憶にございませんっ!

 あの人の場合、式場から連れて逃げるというより、よくわからない演説をぶちかまして、式場ごと乗っ取りそうだからな。

 そんなことを考えているうちに片付け終わり、自分の仕事に戻っていたのだが、社内を巡回している最中に、さっきの会議室の前を通った。

 扉はぴたりと閉められていて、微かに話し声だけが聞こえてくる。

 蘇芳さん、どんな顔で仕事してるんだろうな?

 仕事に関しては真面目そうだからな、と思って、少し笑い、その白い扉の前を通り過ぎた。