その恋、記憶にございませんっ!





 既に会議は始まっている。

 一階に下りた唯たちは常設の受付横に設置していた会議用の受付を片付けていた。

 ふと、箱に入れようとした名簿をめくってみる。

 株式会社MIKAMIの名があった。

 ……失敗した。

 そうだ。
 確か、宮本さんが会社同士の付き合いがあるとか言ってたな、と思っていると、誰かが肩をつついてくる。

 瑞穂だった。

 にんまり笑い、言ってきた。

「ねえ、あのすごいイケメン、唯の婚約者なんだって?」

「違うけど……。
 なんで知ってんの?」

 あの場には居なかったはずだと思い、訊くと、千花に聞いた、と言って、瑞穂は、スマホのメッセージを見せてくる。

 会議中に打ったのか?
 ……仕事しろ、と思いながら、唯は長机の上を拭いていた。

「そうなのかー。
 いや、唯が結婚するって噂はあったんだけど。
 あんた、言わないから、ガセネタなのかな、と思ってたんだよねー」
と瑞穂は言ってくる。