その恋、記憶にございませんっ!

 



「おはようございます」

 まだ人気のない会議室で唯が書類を並べていると、慎吾がやってきた。

「おはよう。
 ごめんね。
 自分の部署の仕事じゃないのに、付き合わせて」

 今日の企画会議のために、総務からも何人か手伝いに来ていたのだ。

「いえいえー」
と言いながら、唯は手際よく、今度はペットボトルのお茶を長机に並べていく。

「手伝おうか?」
と慎吾が言ってくるので、とんでもないです、と手を止めることなく、唯は笑って言った。

「そろそろ早い方はお見えになりますね」

 そう言いながら、チラと壁の丸時計を見た。

 瑞穂たちがもう受付にスタンバイしているはずだ。

 そのとき、連絡用に持っていたスマホが震えた。

「あ、ちょっとすみません」

 なにか足らないものでもあったかな、と思いながら、ポケットに入れていたそれを取り出すと、瑞穂からメッセージが送られてきていた。

『めっちゃ、イケメンが来たっ!』

 ……仕事しろ、と思いながら、そのままスマホをしまう。