その恋、記憶にございませんっ!


 



 宮本がガレージに向かう蘇芳を見送っていると、本田が言ってきた。

「今日も邪魔しに行くんですか?
 少しは放っておいてあげたらどうですか?

 蘇芳様も子どもじゃないんですし」

 二千円もらったから、というわけではなく、自分が邪魔しまくるせいか、どうも本田は、蘇芳と唯に肩入れし始めているようだった。

 典型的な判官びいきだ。

 つい、負けそうな方を応援したくなってしまうのだろう。

「蘇芳様が望むのなら、ご婚約者くらい今からでも変えらないこともないでしょうに」

 そんなことまで言ってくる。

 まあ、蘇芳様の婚約者に関しては、よりよい婿を紹介してやればなんとかなるかもしれない。

 問題は、唯と婚約者の桝谷翔太の方だろうな、と思いながら、宮本は、あの日、此処をくぐってきた唯を思い出しながら、蔦の這う門を眺める。