その恋、記憶にございませんっ!

 紅茶を飲みながら、なんだ? という顔を蘇芳はしていた。

「でも、悪くないですよ、このカップ」
と白いマグカップを掲げ見ながら、宮本は言う。

「厚みがあるからでしょうか。
 口に当たる感じはあまりよくないですが、保温性が高いので、これはこれで美味しいと思います」
と言う。

「すみません。
 これ、二客しかなくて」
と言うと、

「こんな鍵も意味をなさないような部屋にあまり高級品を取り揃えていると、強盗が入りますからね」

 そのくらいで、いいんじゃないですか? と言ったあとで、宮本は、

「しかし、唯様」
とチラとキッチンを見、言い出した。

「こんなところに住まわれて、節約されているつもりなのかもしれませんが。

 さっきもご夕食にコンビニでグラタンを買ってらっしゃいましたね。
 非常に不経済だと思います」

 ひいっ。
 何故、それを知っているっ! と唯は固まる。

 紙のグラタン皿は既に綺麗に処分してあるのにっ。