その恋、記憶にございませんっ!

 




 本気を見せようと言うだけのことはあり、宮本が淹れてくれたお茶は、自分が淹れたお茶とは別物かと思うくらい美味しかった。

「美味しいです、宮本さん」
と言うと、宮本は満足そうに頷く。

 それにしても、小さなテーブルを大きな男二人と囲んでいると息苦しいくらい狭いな、と思っていた。

「でも、宮本さんには、このカップで飲んでいただきたかったのに」
とオールド イマリを手に、自らは100均の白いマグカップで飲んでいる宮本に言うと、

「いえ、結構です。
 こうして一緒にお茶をいただいているのも、恐れ多いことですから」
と宮本は言う。

「ケーキも蘇芳さんがたくさん持ってきてくださったので、ぜひ、召し上がっていただきたかったんですけど」
と言うと、またも、宮本は、

「いえ、結構です」
と言う。

 チラと窓際の棚の上にある、落ち着いた花模様の彫られた置き時計を見、
「私は八時以降は甘いものは食べないのです」

 そう言ってきた。

「体型が崩れるのが嫌なんです。
 執事は見栄えも大事ですから」

 そんな見た目も仕事も完璧な執事様のお話を伺いながら、

 ……食べました、私。
 女子なのに、と唯は思う。

 お宅のご主人様が八時前に持ってきたからですよ……。

 この人、私の体型を崩そうとしているのでしょうか。

 そう思いながら、蘇芳の方を見た。