その恋、記憶にございませんっ!

 唯が、ほっとしながら、せっかく止めに来てくれたのだから、せめて、お茶でもお出ししよう、と思って言うと、宮本は、
「いえ、外に車を待たせていますので」
と言いかけたが、小さな折りたたみ式のテーブルに目をとめ、ほう、と言う。

「オールド イマリではないですか」

「宮本さんもお好きなんですか?」
と笑いかけると、狭い流し台の上に置いてあったディンブラの缶を見た宮本は、

「どうせ、適当に淹れたんでしょう、唯様」
と小莫迦にしたように言ったあとで、

「私がこの紅茶と器の本気をお見せしましょう」
と言い出す。

 いや、あんた、ロイヤルクラウンダービーの回し者か……、と思ったのだが、結局、宮本にお茶を淹れてもらうことになった。

 蘇芳と二人、ちょこんと小さなローテーブルに向かい合って座り、お茶を待つ。

 宮本はまず丁寧にティーポットと器を温めることから始めた。

 そ、そのティーポットはお気に入りのではありますが、100均のなんですが。

 執事様にそんな風に扱っていただくのは、申し訳ないような……と思いながら、唯は宮本の仕事ぶりを眺めていた。