その恋、記憶にございませんっ!

 




 まあ、何処かのコスプレの店の人だとでも思われるかなあ、と思いながら、外に立つ宮本を見ていると、宮本は二人にうやうやしく頭を下げ、言ってきた。

「蘇芳様、そろそろ明日の仕事に差し支えます。
 お戻りください」

 蘇芳は渋い顔をしていたが、唯は安堵していた。

 愛もないままに、おかしなプライドで手篭めにされてはかなわないからだ。

 だが、蘇芳は、
「いや、俺は帰らん。
 今日は此処に泊まるんだ」
と言い出した。

 ひーっ。
 宮本さんっ、止めてくださいーっ。

 だが、さすが子どもの頃から、蘇芳を扱いなれている宮本は動じなかった。

「私は此処に泊まることはお勧めしませんけどね」
と言いながら、振り返り、木製のドアを叩いて見せる。

「こんな安普請のところでなんて、音が全部外にもれますし、女性は嫌がりますよ」

 どんな止め方だ……と思いはしたが、意外にやさしいところもある蘇芳は、案の定、ちょっと考えてくれているようだった。