その恋、記憶にございませんっ!

 



 一方、唯の部屋では、これから邪魔が入るとも知らずに、二人はまだ呑気にもめていた。

「ともかく、お前は俺と一夜を共にしたのに、俺を好きでないと言う。

 だから、俺にはお前を好きになってもらうっ。

 俺のプライドのためにっ!」

 すみません。
 まず好きになってから言ってくださいーっ!

 ひーっ、と唯が心の中で叫んでいると、誰かがドアをノックする。

 思わず、立ち上がり、ドアを開けに走った。

「こらっ。
 一人暮らしなのに、いきなり、ドアを開けるなっ」
と後ろから蘇芳が叫んでくる。

「何処かの変質者でも立ってたらどうするっ」
と怒鳴られたが、ドアを開けた唯は、

「大丈夫です」
と答える。

 ……案の定、お宅の変質者(?)です。

 こんな場所ではかえって目立ちますよねー、という燕尾服姿で宮本が立っていた。