その恋、記憶にございませんっ!

「さあ?
 いつか私が好きだって言ってたからですかね?

 おかわりはいかがですか?」
とキッチンから、見てもわかる100均のティーポットを持ってくると、

「落差が激しいな」
と呟きながらも、もらおう、と蘇芳は言う。

 美味しくケーキとお茶をいただいたあと、残りは冷蔵庫にでも入れておけと言うので、片付けていると、
「ところで、唯。
 いつ、婚姻届を出しに行く?」
と蘇芳が訊いてきた。

「……まだ持ってたんですか」

「何故、突然消えると思う」

 手品か、と蘇芳は言ってきた。

「いやあのー、私、もう結婚決まってますし。
 貴方もご婚約者の方がいらっしゃるんじゃなかったでしたっけ?」

「居るが、あまり話したこともない。
 破談にするなら、今だ」

 いや……既に手遅れだと思いますが、と思いながら聞いていた。

「だいたい、貴方、私のこと、好きなんですか?」
と言うと、蘇芳は少し考える風な顔をする。

 おいおい……。