その恋、記憶にございませんっ!

「私、此処の紅茶も好きなんですよ。
 さっぱりしてて、匂いも強すぎないし」

 そういえば、値段は知らなかったのだが、いつか瑞穂が遊びに来たとき、このカップで出して、へえ、いいわねえ、と言って帰っていった。

 そのあと、ショップで同じカップを見たという瑞穂に、
「あんた、あれ、一客、十万以上するじゃないっ。

 二度と出さないでっ。
 手が震えるからっ」
と言われてしまったのだが。

 ……気に入ってるものなら、どんどん使った方がいいと思うんだけど。

 飾っておいたら、カップである意味ないしなー、と思いながら、

「あ、ケーキ、どれにします?」
と厚ぼったい白い皿を出してくると、

「また突然、器の雰囲気が変わったな」
と言うので、

「これは100均です」
と笑って言った。

「真っ白で、なかなか使いやすいんですよ」

 蘇方は、ふーん、と言ったあとで、
「お前、好きなのを取れ。
 俺はあとでいいから」
と言ってくる。