その恋、記憶にございませんっ!

 




 唯がお茶を淹れている間、ソファもないので、蘇芳は床の上に座っていた。

 大きな身体で、ちょこんと正座している。

 ……似合わない、この部屋が。

 天井の高い豪奢な部屋でふんぞり返って椅子に座ってそうな人なのにと、ちょっと笑ってしまう。

 なんとなく落ち着かなげで、所在無さげなところも、おかしい。

「はい。
 お茶淹れましたから、ケーキ食べたら帰ってくださいね」
と言いながら紅茶を出す。

「それと、今、珈琲切らしてて。
 紅茶でいいですか?」
と訊くと、

「淹れたあとで訊くなよ」
と蘇芳は眉をひそめる。

 あ、嫌いだったかな?

 でも、確か蘇芳さんちでも紅茶が出たような、と思っていたら、
「お前がわざわざ淹れてくれたものなら、なんでも断るわけないだろう」
と言ってくる。

 いやいやいや、とちょっと赤くなってしまった。