その恋、記憶にございませんっ!

 あちこち腐食したような古い鉄の階段を二人で歩いて下りながら、まだ晩ご飯のことで揉めていた。

「あ、そういえば、冷蔵庫にトリ肉があったかも。
 じゃあ、酢ぶどりで」

「それ、ぶ、いらないだろう……」
と言う蘇芳と手をつなぎ、笑い合いながら、白く明るい夜道を歩いていった――。






                        完