「そう。
それでさ。
目が覚めたら、フライドチキンのおじさんが隣りに寝てたんだよー」
お昼休み、社食の端から、そんな声が聞こえてきて、唯はぼとりと箸を落とした。
やだーっという女の子たちの笑い声。
唯は立ち上がり、そのテーブルで中心になって話している男の頭を丸めたフリーペーパーではたいた。
「……あんた、そのネタ、去年も新入社員の子たちに話してなかった?」
社会人になっても日曜たんびに、いろんなスポーツに明け暮れているだけのことはあり、如何にもスポーツマン風の短い髪をした同期の桐本樹は、
「だって、この話、一番ウケるから」
と笑って言ってくる。
「ねえ、それ、土曜の同期会のときも話してた?」
ああ、かもねー、と軽く言ったあとで、樹は、また女子たちと話し出す。
こ、こいつのせいか~っ、と唯は丸めていたフリーペーパーを更に固く握り締めた。



