その恋、記憶にございませんっ!

「出すぞ」

 夜中に迷惑な音を立てながら、蘇芳のビートルは走り出した。

 最早、持っていても意味はないと知りながらも、最初に、離したら終わりだ、と思ってしまったせいで、唯はそのテーブルが離せず。

 車のライトに照らされた夜道を見ながら、冷たいテーブルの脚をつかみ、固まっていた。