その恋、記憶にございませんっ!

 み、宮本さん?

 宮本さんは何処ですか?

 何処か、その辺に隠れてるんですよね?

 ねえっ!?

 唯がキョロキョロしている間も、ガッチリ握った蘇芳の手は離れない。

「どうした唯。
 落ち着かない様子だな。

 そうか。
 此処は壁が薄いと言ったことを気にしてるんだな。

 いつ、宮本が邪魔に来るかもわからないしな」

 いやっ、私はその宮本さんを待ってるんですけどっ。

 宮本さん……

 宮本さんっ。

 宮本さーんっ!

 心の中で何度か叫んだが、宮本は現れない。

 雇ったわけではないが、魂の主従関係で結ばれているのではなかったのかっ。

「わかった、唯。
 此処を出よう。

 うちだとすぐ邪魔が入るから、いつも使ってるホテルがあるから、そこに行こう」
と手をつかんだまま、立ち上がろうとする。