その恋、記憶にございませんっ!

 



 しばらく二人でテレビを見たあと、唯は思った。

 そろそろ寝たいんですが、蘇芳さん。

 楽しかったが、旅行は疲れる。

 ゆっくりお風呂に入って眠りたいんですが、と思っていた。

「唯、そろそろ」
と蘇芳が言ったので、唯は、ほっとする。

「はい。
 今日はお世話に……」

 なりました、と頭を下げようとすると、蘇芳は、
「そろそろいいんじゃないか?」
と言ってきた。

「え? なにがですか?」
と顔を上げると、

「俺は最初の夜も、この間も、夕べだって、まだお前は俺のことをそんなに好きじゃないんじゃないかと思って、頑張って耐えたんだ」
と主張してくる。

 そんなに、はいらない気がするんですけど、と思っている唯の手首をつかみながら、蘇芳は、
「俺の見たところ、お前はもう俺のことを結構好きなんだと思うんだ。

 だから、もうそろそろいいんじゃないだろうか」
と言い出した。

 そ、その鑑定結果は間違っていますっ、と思いながら、唯は左右を見回す。