その恋、記憶にございませんっ!

 運命だ、と蘇芳は言う。

 ……運命か?

「月明かりの下、二人で夜道を歩いた。
 お前の手のぬくもりを感じながら。

 そうしたら、そのうち、お前が手を引いてくれる先に、俺の明るい未来がある気がしてきたんだ」

 唐突にそこで話を切った蘇芳は、

「テレビでも見るか……」
と言って、既についているテレビの方を見る。

 また話を切るなーっ、と思ったのだが、まあ、もしかしたら、照れているのかもしれないな、とも思った。

 間が持てないからと言って買ったテレビをフル活用している蘇芳は、そのうち、ドラマに見入り始めた。

「この男は駄目だな」
とか呟き始める。

 同じ恋愛物でも、男性視点での解釈が面白く、蘇芳の呟きを聞いていたのだが、ちょっと反論したくなり、唯もちょっと呟いてみた。

「でも私、結構この人好きですよ」
と言うと、蘇芳は渋い顔をする。