その恋、記憶にございませんっ!








「いい休日だったな」
といつものように部屋に上がり込んだ蘇芳は笑う。

 車は大家さんが自分のところの駐車場に止めさせてくれた。

 蘇芳が如才なく、大家さんにもお土産を持っていくと、どうぞどうぞと止めさせてくれたのだ。

「……そうですね」

 いや、自分もそう思っていたのだが、口に出してそれを認めるのはちょっと悔しいというか、と思いながら、お茶を出した。

 宮本さんに淹れ方を習ってから、ずいぶんマシになってると思うんですが、と思いつつ上目遣いに蘇芳を眺めたが、彼はお茶を飲んでも、なにも言わずに、テレビをつけて見たりしている。

 いや……褒めてくれとかは言いませんけど。

 美味しいよ、とか言ってくれたら、もうちょっと張り切って淹れてみたりもしてみるんですが、と思っていると、蘇芳が、ふと気づいたようにこちらを向いた。

「どうした?」

「いえ、なんでもありません……」

 まあ、大差ないのに褒めてくれとか図々しいですよね。

 別に貴方のために心を込めて淹れてみましたとか言うわけでもありませんしね。

 ええ、ほんとに、と思っていると、もう一口飲んた蘇芳が、
「美味いぞ、唯」
と言ってきた。