その恋、記憶にございませんっ!

「写真をちらと見ただけだったけど。
 確か、ぼちぼち美人だったわ。

 美人で金持ちで、男なんか選び放題だと思って、調子に乗ってるのよ」
と言ったあと、しのぶは唯を睨んでくる。

「唯さん、貴女もうちの息子をもてあそんでるんじゃないでしょうね」

 ……すみませんが、そんな技術も経験もありません。

 もてあそべるんじゃないかとか思っていただけて、なんだか光栄です、と唯は思っていた。

 しかし、美人で金持ちといえば、此処にも居るが、とチラとしのぶを見ると、しのぶはその視線を感じたように、

「私?
 雪也(ゆきなり)さん以上に素敵な人はこの世に居ないのに、私が浮気する必要が何処にあるの?」
と言い放つ。

 ちょっと笑ってしまった。

 意外に話が合いそうだ、と思ったのだ。

「ところで、唯さん、お式はいつにするの?」

 唐突にそう言ってきたしのぶに、
「は?」
と唯は訊き返した。