その恋、記憶にございませんっ!

 そう思ったとき、本田が、
「若くてイキのいいイケメンなら、桝谷翔太か、慎吾でいいんじゃないですか?」
と言い出した。

「あら、それもそうね」
としのぶが言う。

「よく考えたら、なんで、うちの息子が我慢しなくちゃいけないのよ

 付き合いで結婚させようとしてたけど。

 他を紹介してやればいいのよね。

 唯さん、早速、手配して」
とこちらを向いて言ってきた。

 いやいやいや、そんな手配はできません、と思っていると、宮本が、
「わかりました」
と横から勝手に返事をする。

 売ったな、我が身可愛さに……。

 まあ、古い知り合いというだけで、翔太にも慎吾にも、特に恩も思い入れもないのだろうが。

「だいたい、あの娘、金持ちでイケメンならいいって話、あちこちに言って歩いてるそうじゃないの。

 そんな子、すぐ若い男と浮気するわよ。

 そうよ。
 うちの蘇芳が我慢する必要なんてないのよ」
としのぶの中で、突然、結論づいたようだった。